エアハン(AHU)のドレン排水対策|排水設備が近くにない場合の圧送ポンプ活用

オフィスビルや商業施設、病院、工場などで使われるエアハンドリングユニット(エアハン/AHU)。空調計画では、空調能力やダクト経路、保守性に目が向きやすい一方で、冷却・除湿時に発生するドレン水をどこへ排水するかも、設備計画を左右する重要な条件です。
エアハンを置きたい位置と、排水設備へ接続できる位置が合わない場合、空調機器の設置場所を変更せざるを得ないと考えるかもしれません。しかし、排水立管までの距離や配管ルート、施工条件によっては、排水圧送ポンプを活用して排水計画を組み立てることで、設置計画の選択肢を広げられる場合があります。
この記事では、エアハンのドレン排水で確認したいポイントと、排水設備への接続に制約がある場合の考え方を解説します。空調ドレンの仕組みや配管・勾配の基本は、「空調ドレン排水の基礎知識と効率的な配管システム」もあわせてご覧ください。
目次
1.エアハンの設置計画でドレン排水が課題になる場面
エアハンドリングユニット(エアハン/AHU)とは
エアハンドリングユニット(Air Handling Unit:AHU)は、用途に応じて外気や室内から戻る空気を取り込み、冷却・加熱・除湿・加湿・ろ過などを行ったうえで、ダクトを通じて建物内へ送る空調設備です。主にオフィスビルや商業施設、病院、工場などの比較的大きな空間で使われます。
冷却・除湿を行うと、熱交換器の表面には結露水が生じます。結露水はドレンパンに集められ、ドレン配管を通じて排水されます。そのため、エアハンの計画では、空気をどのように送るかだけでなく、ドレン水を安全に排出できるかまで考慮する必要があります。
設置したい位置と排水設備が合わないケース
エアハンの設置位置は、外気の取り入れ方、ダクト経路、保守・点検のしやすさ、テナントや施設全体のレイアウトなどを踏まえて決まります。一方で、排水管や排水立管の位置は、建築・衛生設備の計画のなかで簡単に変更できないことがあります。
このため、空調計画上は望ましい位置があっても、近くに排水設備がない、必要な勾配を確保できる配管ルートを取りにくい、といった状況が生じます。新築でも、建築・設備・テナントの詳細を調整する段階で、空調機器の設置位置と排水設備への接続条件が合わなくなる場合があります。改修やテナント工事では、既存配管、床スラブ、階下への影響、工期などの制約が加わるため、さらに調整が難しくなることがあります。
2.まず確認したいドレン排水の条件
排水立管までの距離と配管ルート
エアハンの設置位置から排水立管までの距離や高低差、配管を通せる経路は、ドレン排水の計画を左右する要素です。
排水立管が比較的近くにあっても、必要な勾配を確保しにくい場合や、天井内・床下・設備シャフトのスペース、ほかの設備との干渉によって配管ルートを取りにくい場合があります。
こうした条件では、配管経路の見直しに加え、排水圧送ポンプを活用して既設排水立管へ接続する方法も検討できます。
空調機器側の条件と施工条件を確認する
エアハンのドレン排水では、機器側の仕様に沿った排水計画が前提です。ドレントラップなど、空調機器メーカーが求める条件は、排水方式を変更する場合も満たす必要があります。
また、改修やテナント工事では、床スラブへの開口、既存配管との接続、営業中の施設や階下テナントへの影響なども検討事項になります。建物側の排水設備を利用する場合は、接続位置や配管経路だけでなく、点検・メンテナンスを行えるかも見ておく必要があります。
排水計画だけで判断せず、空調、建築、衛生設備、施工の各条件を早い段階で共有することが重要です。
3.自然排水が難しい場合に検討できる方法
排水立管までの距離がある、必要な勾配を確保しにくい、床工事を大きく行いにくいといった場合には、排水圧送ポンプでドレン水を既設の排水設備まで送る方法があります。
圧送方式を活用することで、天井内などの配管ルートを利用しながら、エアハンのドレンを既設排水立管へ接続できる場合があります。排水設備の位置だけを理由に空調機器の設置場所を変更するのではなく、排水方法も含めて設置計画を検討できる点が、圧送方式の特長です。
採用する製品は、ドレン水量、揚程、配管経路、設置スペース、電源条件などに応じて選定します。
大規模複合施設のドレン排水を実現した事例

SFA Japanでは、大規模複合施設において、エアハンのドレン排水にサニスピードプラスを活用した事例があります。
この事例では、オフィスエリアに外気を給気するエアハンのドレンを排水する設備が近くになく、排水工事が難しいことが課題でした。
そこで、サニスピードプラスを用いて、天井懐まで排水管を垂直に伸ばしたうえで横引きし、既存の排水立管へ圧送。排水設備がない窓際にもエアハンを設置できるようになりました。
4.SFAの排水圧送ポンプを検討する場合
SFA Japanでは、排水設備が離れた場所から既設の排水管・排水立管へ水を送るための排水圧送ポンプを取り扱っています。
冷蔵・空調機ドレンの排水用途では、サニスピードプラスをはじめ、サニコム2、サニキュービック2クラシックなどの製品が活用されています。床を大きく掘り下げず、天井内などを使って配管ルートを構成できるため、排水設備の位置によって空調機器の設置計画が制約される場合の選択肢となります。
エアハンのドレン排水では、ドレン水量や排水立管までの距離・高低差、配管経路、設置環境によって、適した製品が変わります。条件に応じて製品と配管計画を選定することで、排水設備が近くにない場所でも、エアハンの設置計画を具体化できる場合があります。
排水立管までの距離や施工条件によって、エアハンの設置計画に制約が生じている場合は、SFA Japanへ相談し、条件に応じた製品・配管計画を検討しましょう。
5.まとめ|空調機器の設置計画と排水計画をあわせて検討する
エアハンの設置計画では、空調能力やダクト経路だけでなく、ドレン水をどこへ排水するかを早い段階から検討することが重要です。
設置したい位置と排水設備の位置が合わない場合は、排水立管までの距離、高低差、配管ルートを整理し、必要な勾配を確保しにくいときは、圧送方式を含めて排水計画を検討します。
特に、大規模施設の新築・改修・テナント工事では、空調、建築、衛生設備、施工の条件が相互に影響します。計画が具体化してから排水ルートに課題が見つかると、設置位置や工事内容の見直しが必要になることもあります。機器の仕様と現場条件を早めに共有し、必要に応じて設備設計者、施工会社、製品メーカーへ相談しながら、適した方法を選びましょう。































