介護向けお風呂のリフォームは何をする?ポイント、事例や費用相場も解説
高齢者や被介護者と暮らす家庭では、浴室への移動や浴室内での入浴は、負担や不安を感じる要素の1つです。そこで、隣接する部屋への浴室新設や二世帯住宅での浴室増設、浴室内の改装など、お風呂のリフォームが注目されています。
この記事では、高齢者や被介護者向けの浴室リフォームのポイント、事例、費用相場を紹介します。
目次
1.お風呂の介護リフォームが必要な理由
高齢者や被介護者と暮らす家庭では、介護リフォームは避けて通れない課題です。
介護リフォームが必要な理由は、介護者の負担が軽減されて利用者の安全性が高まることです。
とくにお風呂は、移動中の段差・浴室内の滑りやすさ・浴槽の高さなど、転倒や溺死の原因になる箇所が多数あります。令和4年の消費者庁の発表によると、浴槽内での溺死は、65歳以上の不慮の事故による死因の第3位です。
使いやすい浴槽への交換や移動しやすい場所への浴室の設置によって、安全で快適にお風呂を使用できます。高齢者や被介護者が入浴する負担を軽減できれば、毎日の入浴で身体を清潔に保てるため皮膚トラブルや感染症リスクの低減が期待できます。
使いやすいお風呂への改装は、重要な介護リフォームの1つです。
2.お風呂の介護リフォームのポイント
お風呂は、事故が起こりやすい場所です。お風呂を介護用にリフォームすることで、事故による怪我のリスクを軽減できます。
ここでは、お風呂における介護リフォームの具体例を紹介します。
■ 手すりの設置
手すりの設置は介護リフォームの基本であり、効果が期待できる項目です。
手すりがあることで浴槽をまたぐときにバランスが取りやすくなり、さらに滑りやすい床で立ち上がったり座ったりするときの転倒リスクを軽減できます。
具体的には、浴槽の縁やシャワーエリア、浴室の出入口への設置が推奨されます。
手すりを掴みやすい高さや位置、形状など、利用者に合わせて選ぶことが大切です。
■ 段差の解消や床の改善
お風呂の介護リフォームにおいて、段差の解消や床の改善は安全性を向上させる重要なポイントです。
段差をなくすことで高齢者や要介護者が転倒するリスクを減らし、安全に入浴できます。入口付近の手軽な段差解消には、すのこの設置がおすすめです。
また床材を滑りにくくソフトな素材に変更することで、転倒時の衝撃を和らげ、介護者の身体への負担が軽減されます。断熱性の高い床材の使用は、ヒートショックの防止にもつながります。
■ 浴槽の交換
浴槽の交換は、介護する側・される側双方の安全性と快適さを向上させる重要なリフォームです。
一般的な高さ60cmの浴槽は、立ち上がりや移動が困難な方にとっては大きな負担がかかります。利用者の膝下の長さに合わせた、浅い浴槽への交換がおすすめです。浴槽への出入りがしやすくなることで、転倒のリスクが軽減して利用者の自立支援が期待できます。
浴槽交換の工事に伴う作業は、壁と床の再構築や下地の調整など広範囲にわたります。床の滑り止め加工や段差解消の工事を同時に進めると、効率良くリフォームが可能です。
■ バスリフトの設置
バスリフトとは、利用者が座ったまま電動で昇降し、安全に浴槽へ入出できる設備です。利用者が座ったまま浴槽に出入りできるため、足腰の弱った方が楽に浴槽を利用できます。
利用者の転倒リスクの低減や自立支援が期待でき、入浴介助する介護者の負担も軽減されることがバスリフトの利点です。浴槽の横に設置する椅子型の他に浴槽一体型などが存在し、浴室の空間を狭めることなく利用できます。
介護保険を利用すればレンタルできる可能性があるため、費用面も含めて検討をおすすめします。
3.お風呂のリフォームの費用相場
さまざまな種類がある介護リフォームのうち、お風呂のリフォームの費用相場はどの程度でしょうか。
お風呂のリフォームの一般的な相場を、以下の表に工事の種類別にまとめました。
リフォーム事例 | 費用相場 |
手すりの設置 | 3万円~5万円 |
浴槽内の滑り止め設置 | 数千円~1万円 |
浴室ドアの引き戸への交換 | 7万円~15万円 |
簡易浴槽への交換 | 20万円~50万円 |
滑りにくい床材への交換 | 20万円~50万円 |
浴槽への昇降設備設置 | 30万円~50万円 |
ユニットバスへの交換 | 80~150万円 |
複数のリフォームを一度に実施すると、経費の節約が可能です。例えば床材の変更と手すりの設置をまとめて実施すれば、個々で工事するよりも費用が削減できます。
リフォームの内容によっては介護保険の助成制度を利用でき、費用の補助が受けられます。
4.お風呂の介護リフォームで利用できる補助金
介護リフォームは大切ですが、安くない費用がかかります。一定の条件を満たせば、介護リフォームに公的補助が適用できます。
費用負担軽減のために、補助金の適用条件を調べておくことがおすすめです。
■ 介護保険の補助制度
介護保険を活用したお風呂のリフォームで、介護される方が安全に入浴できる環境を整えられます。床材の変更や扉の交換、浴槽内のリフト設置などが介護保険適用の対象です。浴室暖房や蛇口交換など対象にならないものもあるため、事前の確認が大切です。
手続きの流れとしては、市区町村で要支援・要介護認定を受け、住宅改修の申請をします。適用条件は利用者が要介護認定を受け、入院や施設入居をしていないことです。
対象の工事費用は20万円以内で、所得に応じて7割から9割の補助金が支給されます。転居や要介護度が3段階以上上がったときは、再度補助金の申請ができます。
介護保険が適用されれば工事費の大部分を補助で賄え、リフォーム費用の負担軽減が可能です。
■ 長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、既存の住宅の性能を向上させ、高齢者や三世代同居などのニーズに対応したリフォームを支援する国の事業です。子育て環境の整備や省エネ化、住宅の質の向上を目的としています。
補助率は対象費用の1/3で、最大200万円までの補助金を受けられます。
ただし、家の劣化対策・耐震性の向上・省エネルギー対策のすべての基準を満たすための工事が対象であり、バリアフリーや介護リフォームのみが目的の工事は適用対象外です。
家の全体的なリフォームと同時に介護リフォームを行う際に、補助金が利用できる可能性があります。申請手続きは主に施工業者が担当するため、リフォーム工事を依頼する業者に適用可能か相談しましょう。
詳しくはこちらをご確認ください
5.SFAの排水圧送ポンプで、お風呂のレイアウトを自由に設計!
お風呂や水回りの介護リフォームは、利用者の安全と快適さを確保する上で重要です。そこで注目されるのが、SFAの排水圧送ポンプの導入です。
SFAの排水圧送ポンプは名前の通り、排水を圧送するポンプユニットです。排水をポンプアップして、遠くにある排水設備まで排水を搬送することができます。大規模な配管工事は必要なく、工事日数を短縮できるだけでなく、工事費用の節約も可能です。
■ 排水処理の課題
一般的に、普段使用しているトイレやキッチンなどの排水は、多くの場合、重力を利用して床下を通っている排水管を流れていきます。
そのため、水まわり機器(シンク、トイレ、洗面台、洗濯機など)を新たに設置したい場合は、設置する場所の近くに排水が自然に流れる排水管の「勾配」を確保することが必要です。
従来の自然排水の工法ですと、排水設備や工事に莫大な費用が発生するケースが多く、さらに最悪の場合は、排水管の勾配が取れない、近くに排水設備がないといった理由で諦めることも少なくありません。
しかし、SFAの排水圧送ポンプを用いると、家の構造や配管の問題があって排水が困難な場所にもお風呂の新設や施設の改善ができます。
モーター駆動のポンプが排水を助け、これまで設置が不可能だった場所にも水回りを設置できるため、設計の自由度が大きく向上するのです。
水回りを一か所に集約するレイアウトの実現や、トイレの増設や手洗い場の設置にも役立ち、さまざまな介護ニーズに柔軟に対応できます。
6.SFAポンプのご紹介
現在、SFA Japanでは9種類のポンプを販売しております。
今回記事でご紹介したお風呂やユニットバスには、断続的に5分間90℃までの排水温度対応の『サニコム』シリーズで対応することが可能です。一般家庭以外にも厨房機器内や工場、倉庫などの非住宅の現場でも導入されることが多いポンプです。
■ サニコム1
SFAの非住宅・商業施設向け雑排水圧送ポンプ。
排水を25Aの管径で最大揚程8m・最大水平圧送距離80mまで圧送できます。
耐熱温度が90℃の他、手動運転ボタンとアラームがポンプに内蔵されています。
また、有線のアラームボックスも標準で付属しています。
■ サニコム2
店舗・商業施設向けの大型雑排水圧送ポンプです。
消費電力単相100v 750W のモーター×2台を搭載しています。吐出排水はモーター×2台による自動交互運転となります。吐出能力が大きい為、非住宅の現場でも安全にご利用頂けます。
■ サニコム2を使用して、地下にある事務所にシャワーブースを設置した事例。
【課題】地下にシャワーブースと手洗い器を増設するためには、排水を地上へポンプアップする必要性がありました。しかし従来の工事方法の場合だと汚水ピット・汚水槽を設置する必要が生じるため、かなりの費用や労力が発生します。
【結果】サニコム2を導入して、地下のシャワーブース、手洗い器の排水を地上へポンプアップ。
従来必要だった汚水ピットを作らずに地下の排水問題を解決しております。
今回使用したサニコム2は耐熱温度が90℃で最大揚程が8mの能力が高いポンプになります。その為、複数の衛生機器と接続しても問題ございません。この事例では洗面台も一緒に設置しています。
7.まとめ
本記事では高齢者や介護される方の安全と快適さを考慮したお風呂の介護リフォームについて、実際の事例や費用相場について解説しました。
介護リフォームは、利用者の自立を支援し介護者の負担を軽減します。
特にお風呂を増築するときは、SFAの排水圧送ポンプを活用することで大掛かりな配管工事が不要になり、費用の削減が可能です。
介護リフォーム工事の際は、SFAポンプの採用をおすすめします。